私が建築の設計の仕事を本格的にを始めたの1978年(約28年前)からでした。当時
は、CADなどはなく、製図板とT定規で作図をするのですが、これがうまくかけるには年
季とコツが必要でした。鉛筆で引いた線の総延長が地球を一回りする位出ないと、旨く画
けないとも言われました。私は元来、この製図が下手でした。手の小指の側面が鉛筆の
芯の汚れで真っ黒になり、必死になって書いても間違ってばかり、消したり線を継ぎ足し
たりしているうちに、図面は全体が黒ずんで、いかにも悩んで書いたことが丸分かりで
す。建築の知識がないから、線が必要な位置で停止しない、のです。これに引き換えて、
私とは二つしか変らない先輩は、建築の高校を出てからずっと図面を書いてきており、し
かも旨かったのでした。彼の手はいつも綺麗で線も強弱がはっきりしており、いつ見ても
見事でした。後にドラフターといって下の写真のような製図器が登場し、私の図面も少し
はましになりましたが、見違えるようにはなりません。
図面を見ればこの人間はどれだけの経験を持ち合わせているのか、玄人の目には一
目瞭然でした。何とかならないものか?何か旨くなる方法ははないものか。
私は、悩み続けて仕事をしていました。
ある時、私の勤めている設計事務所と交流のあった事務所が、CADというものを導入し
たとの話を聞きました。早速、見せてもらいに行きました。
私は、そのCADというものがまるで天啓のように思えました。図面をパソコンで書き、間
違って描いて修正しても図面が汚れる事もなく、1階の図面を書けば2階にもコピーして
転用できる、紙に何度でも書き出すことが出来るなど、私が望む私の総ての短所を解決
してくれるかに見えたのです。
しかし、大きな難問が一つありました。それは、パソコンというものがなくてはならない事、
CADというソフトを買わなくてはならない事を知り、それらを一式そろえると70万円から
100万円くらいかかるです。私は、CADというパソコンでの製図を即座にあきらめてしまい
ました。当時の私の給料は手取りで、15万円くらいしかなく、とても手の出る代物ではな
かったからです。
どうしても欲しい。と思うと同時に、「CADというものがこれからの建築業界に必ず使われ
るようになる。」という確信が私にはなぜがありました。
その設計事務所に足しげく通い、ソフトのことや、パソコンのことを詳しく教えを請い、実際
に使ってみもしました。私も買おう。そう決心をしたのは半年位後の事でした。
その時の貯金は100円弱、CADに必要な物を一式そろえると、75万円になりましたが、
教えてくれた設計事務所に出入りの業者を通して買いました。まだ、中古のマンションを
買ったばかりの頃で、もう、大変な決心でした。結婚も未だでした。
CADソフトの名前は「DRA−CAD」で35万円。JW-CADを知る前の二年くらい前の事
だったのです。パソコンはNECの9801RA21でした。
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現在市販されているドラフター。図板のどこ
にも動かせて、なおかつその角度で図面
を書くことが出来る。左上は微妙な角度に
調整も出来るメモリが付いていま
す。
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左側の写真の説明図面です。図面の上のほ
うを描くときは、製図板の角度を垂直方向に
たて気味にして描きます。手暗がりにならな
いよう蛍光灯も付いています。椅子は、高さ
が調整できます。
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写真の出典:ムトウ工業
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